アメヒヨ不動産 リノベ企画

04

Feb.2020

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VOL.6 残置物との戦い


物件を手に入れてから早1週間。


一刻も早く引っ越したいと思っていた希望も虚しく、

12月は大工さんの手配が難しいとのことで、一気にのんびりムードに。


まずは自分たちでできることから。
そう荷物の処分。


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今回の物件、値下げしてもらうかわりに家の中の物は全てそのまま置いていく、という条件をのんだ。

不動産屋さん曰く、業者に見積りしたところ30万くらいはかかる、とのこと。

私的には150万下げてもらったのだから30万くらい払おう、と思ったのだが、

いつもお世話になり、この家でもまた大変お世話になる予定の工務店のUさんが

「自分達でやったらものすごく安くできますよ」と、親切心で言ってくれたからさぁ大変。


分別して町のゴミ処理場に持っていけばほとんどタダ同然で引き取ってくれるとのこと。

30万がほぼ無料に。

それは確かに予算カツカツの我々にとっては嬉しいことだ。


でも私は正直、変なところ潔癖で、人の使った物とかが苦手だ。

加えて大の虫嫌いでもある。

なにより、この家には尋常じゃない量の物がある。

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業者に頼んだ方が絶対いい。

いいに決まっている。


と、わりと頑なに思っていたのだが、いつのまにか自分達でやることに心が傾いていた。


節約、というよりは、そこを避けていたらこの先このボロボロを再生させることなど不可能だ、

とどこかで思ったのかもしれない。


一番嫌なこと、しんどいことをやらないで、いいとこどりだけするのが果たして正しいのか、と。



そんなわけで結局のところ自分達でゴミを捨てることになった。



1日目は広司くんと2人で黙々と取り組んだ。



衣類、おもちゃ、本、空気清浄機、高圧洗浄機、非常用の飲料水、

謎のツノ、謎のサンゴ、謎の法螺貝、謎の仏像。


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90lのゴミ袋であっという間に部屋中が埋まる。


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奥の部屋は子供部屋のようだった。

部屋の片隅には1995年11月で止まっているカレンダー。

棚には尾崎豊のカセットがぎっしり入ったケースと受験の参考書。


1995年、私は千葉県の中学に通う15歳だった。

受験や人生に悩み、いろんなことに悶々とし、一人途方に暮れていた年頃。


その頃、遠く離れた奈良でも誰かの人生が並行して進んでいたのだと思うと不思議な気持ちになる。

誰かの人生の一端に触れる、というのは貴重な体験だとつくづく感じ、

そしてそれはまた自分の人生を重ね合わせ、振り返ることにもなるのだと感じた。


この日はとりあえず見えている範囲の物を袋に詰めて、一度だけゴミ処理場に運び作業を終えた。



それから2週間後、我々の唯一の連休が、ゴミ出し作業の山場。


ヒロシくんのご両親も朝から手伝いに来てくれてせっせとゴミ袋に詰めていく。


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昼からは強力助っ人のOさんが軽トラとともに手伝いに来てくれた。

持つべきものは心優しく、力持ちで、MT免許持ちの友達だ。

どれだけ助かったかわからない。


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小さな平屋なのにタンスが4つ、テーブルが2つ、

布団が10セットくらい、謎の(なんせ謎だらけ)超デカいマットレスが2つ、

それ以外にも書ききれないほどの大物があり、トラックじゃないと運べない物ばかりだったのだ。


大活躍のOさんが帰った後は屋根職人の友人、Sさんも来てくれる。

それとなく屋根のことを聞いていたから来てくれたのだと思ったら、

しっかりゴミ出しの手伝いもしてくれた。


本当に世の中なんて素敵な人ばかりなんだろう。



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1日目では大物家具をほとんど出すことができた。が、まだまだ押入れの中は手付かずの状態。



筋肉痛の体とともに2日目開始。


この日も朝からヒロシ両親が来てくれる。

押入れの中にはこれまでもさんざん捨てたはずなのに、出てくる出てくる服の山。


さっきからゴミゴミ言っているが、前の持ち主様はとても几帳面な性格だったらしく、

服は全てきちんと畳んであり、ダンボールには何が入っているかきちんと書いてある。


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たくさんのエアメール、帳簿も綺麗に箱に収められ、写真は写真で大事そうにまとめてあった。

そして極め付けが持ち主のお父様と思われる方の物が詰まったダンボール。

戦時中の出征寄せ書きの日の丸、勲章、キセル、それから当時の写真が驚くほどキレイに残っていた。


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なんだか胸にグッとくる。


この家が使われなくなってから数十年。

家の中ではたくさんの思い出の品が、いつかまた日の目を見る時を夢見て、ひっそりと待っていたような気がする。


けれど持ち主は誰も戻ってこなかった。


丁寧に包まれたブリキの車、子供用の下駄、ペン習字のセット。


まさしく封印されていた「過去」が、今赤の他人の私たちの手で陽の光を浴び、そして捨てられていく。

捨てることに変わりはないが(と言いつついくつかの物は受け継ぐことにした)、

最後にもう一度賑やかなこの家を見せれてよかったのかな、とも思う。


物は記憶する。


その記憶を暗闇の中から光の元へ帰してあげる。


そんなことに何の意味もないかもしれないが、少なくとも私たちはこの家の何かを受け取ることができた。

この家にはかつてたくさんの人が集まり、バーベキューをしたり、三輪車で遊んだりしていたのだ。


もしもこの家がこのまま解体されたなら、

もしも業者さんに片付けをお願いしていたなら、

私たちはこの家の過去を何にも知らないままだったのだなと思うと、

自分たちで片付けて良かったとしみじみ思った。


2日目もOさんは軽トラとともに颯爽と現れ、信じられないほどの荷物を運んでくれ、なんとかほとんどの物を出すことができた。


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この家と前の持ち主様との歴史は、この大量の物を処分したことによって、正しく終わりの時を迎えた気がする。


そして私たちに受け継がれる。



最後の最後、残っていた押入れからはこれまた尋常じゃないくらいの大量の、しかもご存命のヤモリが…。

このヤモリからも家を受け継ぐ時が来たのだな。

今まで守ってくれていてありがとう。


というわけで、年末には屋根の下地のみ自分達で作業をし、年明けから内部の解体!

いよいよリノベっぽくなってきますよ。



つづく

WRITER

明日香


副編集長
カフェナナツモリオーナー



アメヒヨ不動産 リノベ企画

アメヒヨ不動産、リノベ企画課によるリノベーションドキュメンタリー。
住宅のプロSOUSEI監修の元行なったリノベプロジェクトや、
編集長タムラのマイホーム購入記などなど。
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