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29

Jan.2015

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原美術館の誘惑

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こんばんは、明日香です。
今日は大好きな美術館のご紹介をしたいと思います!
アメヒヨらしく「家」にもスポットを当てつつお送りしてまいりますね。

私がアートを好きになったのは奈良に来てから。
時代の波に見事にのっただけかもしれませんが、
この10年間、その熱は衰えることはありません。
すごい知識があるわけでも、探究心があるわけでもないので、
人様に語れることは少ないのですが、
芸術の持つ素晴らしさにはいつも心から感動します。

そんな自分にとって美術館はどんな場所に行くことより
安らげて、楽しめる、最高の空間です。

まだまだ訪れていない美術館もたくさんあるのですが、
今まで行った美術館の中で特に好きな美術館、
それが東京・品川にある「原美術館」

元々は東京ガス会長、日本航空会長などを歴任した
実業家原邦造氏の邸宅であり、
現在は現代美術を中心とした私立美術館です。

この「邸宅」×「現代美術」という組み合わせが、
私にとっては最高であり、
おそらくアートをあまり見たことがない方でも
心から楽しめる美術館だと思います。

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建物は東京国立美術館や銀座の和光ビルの設計を手がけた
渡辺仁氏によるもので、1938年に完成しました。
戦後の動乱の中、一時的にGHQに接収されたりしましたが、
1979年、原俊夫氏により現代アート専門の美術館として開館。
アール・デコ調の雰囲気をそのまま残しつつ、
美術館としての役割も担えるような改装をしてあります。

場所は品川駅より徒歩約15分。
駅前の喧噪を抜け、美術館に近づくにつれ静かになっていくのを感じながら歩く時間は、
芸術に向き合うための心の準備にちょうどいい時間です。

エントランスの屋外彫刻を見つつ、館内に入るとまずは受付。
そちらのすぐ横には客間として作られた小さめのお部屋。
このお部屋はこれから見ていく展示のプロローグのような形で
作品が展示されていて、いつも期待感を高めてくれます。

館内の展示は企画展が中心ですが、
所々に常設の展示物もあり、それが現代美術好きにはたまらないセレクト。

階段下の元々トイレだった場所にも常設作品があります。
こちらは昨年の横浜トリエンナーレでアーティステック・ディレクターを
務めた森村泰昌さんの「輪舞」という作品。
近付くと音楽が流れ、鏡の中に果てしない空間が広がり、
異次元の世界へ引き込まれます。

kioku_MG_8951_M森村泰昌 「輪舞」 1994年  Photo by Keizo Kioku

皆さん、この写真を見て「美術館」のイメージがガラッと変わりません?
あの優雅な外観の建物からは想像もできない世界を隠し持っている、
それが原美術館の魅力なのです。


奥に行くと作品も展示される廊下と広めのギャラリールーム。

1F廊下350dpi_MG_4261
ギャラリールームは元はダイニングとして使用されていて、
本来は大きな窓のある光の入るお部屋らしいのですが、
展示に合わせて壁を作るなどして対応しているそうです。
床は当時のままだそうで、年期の入ったヘリンボーンがとても美しい。

そして広い窓から燦々と光が差し込む半円のスペース。
こちらは朝食をとるためのスペースだったとか。
昔はここから遠くに海が見えたそうですよ。

M_MG_4887

邸宅を改装した美術館の魅力は、作品だけでなく建物自体も多いに楽しめる所。
実際に私ももし家を建てるならここは取り入れよう、とか
いろいろ考えながら見たりします。
住宅としての役目を終えた後も、また違う役割を与えられて輝いている建物。
どうしたらこんな風に愛され続ける建物になるのか、
そのヒントを探します。

そして柔らかな光が差し込む階段を上がり、2階へ。

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階段を上がると、その横には須田悦弘さんの常設作品「此レハ飲水ニ非ズ」。

M_MG_9956 須田悦弘 「此レハ飲水ニ非ズ」 2001年

雑草や椿などを、本物と見間違うような精巧な木彫りで表現する須田さんの作品。
美術館によっては「気付く人だけ気付く」ような場所に
ソッとささやかにある場合も多いのですが、
原美術館ではこの小さなスペースで、
独特の強い存在感を放っています。
作品名は一時、外国人がこの建物を使用していた際に、
実際にこの部屋の中に英語で書かれていた言葉をそのまま使用しているそうです。
ちなみにこのスペース、元々は写真好きな当主が
暗室として使用するために作られたのではないかと考えられているそう。
自分だけの小さな趣味の部屋。憧れます。

2階には寝室として使われていたお部屋があり、
現在は3部屋に区切られギャラリースペースとして使用されています。

一番奥の広いお部屋には更に扉があり、
そこを開けると奈良美智さんのアトリエを再現した「My Drawing Room」が。

130712MyDrawingRoom 002奈良美智 「My Drawing Room」 2004年8月~ 制作協力: graf  Photo by Keizo Kioku

このお部屋、初めて見た時その空気感に衝撃を受けました。
三角の天井、窓から見える緑、
さっきまで奈良さんがいたかのようなアトリエの風景。
奈良さんの作品はたくさん見たことがあったのに、
なんだかこのお部屋の中にある絵は、どの絵も嬉しそうで、
私はひたすらポカーンとその様子を眺めてました。

そしてその衝撃を引きずり、自分のお店の2階にも小さなおうちの形の
ギャラリーを作ってしまったほどです 笑。
ただやはりこの独特の雰囲気はここでなければ味わえません。

2階にはこの他にも宮島達男さんの作品「時の連鎖」、
そして更に階段を上った3階には空間全てを使った
ジャン=ピエール レイノーの作品「ゼロの空間」があります。
どちらも見る人によって様々な思いを巡らすことができる素晴らしい作品です。

屋内の展示を見終わったら、中庭に出て屋外展示も楽しみましょう。
イサム ノグチやソル ルウィットの彫刻やオブジェなど、
想像力をかきたててくれる常設展示6点があります。


作品をすべて見終わっても帰るのはちょっと待ってくださいね。
1階にはお庭を見ながらゆっくり食事やカフェができる「カフェダール」、
そして本当に欲しくなるものばかりの充実したセレクトのミュージアムショップがあります。
作品に思いを馳せながらコーヒーやワインを飲んだり、
センスのいいお土産を選ぶなどして観賞後の時間も楽しめます。
(こちらの両施設は美術館に来館した方専用となっています。カフェ、ショップのみのご利用はできません)

さて、かなり長く書いてみたのですが、
原美術館の素敵さは建物、作品、場所すべてが織りなす「空気感」なので、
やっぱり言葉では伝えきれません。
東京へ行く際はぜひ実際に訪れてその空気感を感じてみてください。

そして嬉しいことに、1月24日からは写真好きの皆様が訪れるのにピッタリの展示が始まりました。
国際的に活躍する写真家蜷川実花さんの個展「蜷川実花:Self-image」です!

蜷川実花さん初のセルフポートレイトを中心とした展覧会となっており、
「生身に近い、何も武装していない」と作家自身が語る特別な写真群(=Self-image)が紹介されます。
華やかで鮮烈な「蜷川カラー」のイメージとは異なる作品が、
原美術館の親密な空間を活かした展示構成で拝見できるということで、
私も今からとても楽しみにしています。
会期は2015年1月24日から5月10日までとなっています。
ぜひこの機会に足を運んでみてください。


ちょっと落ち込んだ時、
忙しくてリラックスできていない時、
美術館の穏やかな空間と美しい作品は、自分にぴったりと寄り添ってくれます。
行きつけの飲み屋、いつも足を運ぶショップなどに加え、
皆様もお気に入りの美術館を見つけて、
自分の心と向き合う瞬間を作ってみてくださいね!



原美術館
〒140-0001 東京都品川区北品川 4-7-25
Tel 03-3445-0651(代表) Fax 03-3473-0104(代表) E-mail info@haramuseum.or.jp
ウェブサイト http://www.haramuseum.or.jp
携帯サイト http://mobile.haramuseum.or.jp
ブログ http://www.art-it.asia/u/HaraMuseum
Twitter http://twitter.com/haramuseum (アカウント名 @haramuseum)


「蜷川実花:Self-image」 2015年1月24日[土] – 5月10日[日]
開館時間 11:00 am ‐ 5:00 pm(水曜は8:00 pmまで/入館は閉館時刻の30分前まで)
休館日  月曜日(祝日にあたる 5 月 4 日は開館)、5 月 7 日
入館料  一般 1,100 円、大高生 700 円、小中生 500 円
     原美術館メンバーは無料、学期中の土曜日は小中高 生の入館無料/20 名以上の団体は 1 人 100 円引
交通案内 JR・京急「品川駅」高輪口より徒歩 15 分
     都営バス「反 96」系統「御殿山」停留所下車、徒歩 3 分
     京急「北品川駅」より徒歩 8 分

WRITER

明日香


副編集長
カフェナナツモリオーナー



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